静岡県と、理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター イオン育種研究開発室の阿部 知子 室長らの研究グループが共同開発した温州みかん「春しずか」が2024年3月6日付けで品種登録されました。
「春しずか」は、理研 仁科加速器科学研究センター(埼玉県和光市)において、みかんの穂木[1]に重イオンビーム[2]を当てて変異を誘発した個体の中から、静岡県が2001年から2019年にかけて生育特性を確認して選抜し、作出された新品種です。
「春しずか」は、果実の色付きが遅い特徴があり、「青島温州」より1ヶ月程度収穫時期をずらすことが可能で、収穫労力を分散できます。また、食味の低下や腐敗の原因となる浮皮の発生が少ないため貯蔵性が高く、長期貯蔵も可能です。
本年3月より、静岡県経済農業協同組合連合会より生産者向けに苗木の供給と生産体制が整えられ、2027年度から本格的に果実の販売が開始される見込みです。
詳細は、静岡県のホームページをご覧ください。
関連リンク
- 2021年12月8日プレスリリース「春先に出荷可能な温州みかんの作出に成功」
- 2022年2月8日お知らせ YouTube「理研チャンネル」新着動画プレスリリース解説「作業時期の集中を回避!温州みかんの新品種「春しずか」」
補足説明
- 1.穂木
接ぎ木は果樹類で広く用いられている増殖法であり、台木と穂木が用いられる。接がれるほうが台木、接ぐほうが穂木であり、枝が用いられる。 - 2.重イオンビーム
原子から電子をはぎ取って作られたイオンのなかで、ヘリウムイオンより重いイオンを重イオンと呼ぶ。これを、加速器を用いて大量に加速したものを重イオンビームと呼ぶ。